会期|2026年4月30日から2026年11月8日まで
会場|臺南国家美術館 3階 L・M・N展示室
蔡草如(1919–2007)は、本名を蔡錦添といい、臺南に生まれました。その創作の形成には、地域の工芸、民間信仰、伝統絵画の環境が深く関わっています。父の蔡振昆は打銅師であり、銅器に施す花模様を描くことに長けていました。母の陳明花は陶磁器工場で花鳥図様を描いた経験をもち、叔父の陳玉峰は台湾を代表する民俗画師の一人でした。幼少期から身近にあった工芸、廟宇、芝居小屋、民間信仰は、蔡草如が後年の創作において繰り返し立ち返る精神的な土壌となりました。
本展は「双筆」と「仙跡」を主題に、蔡草如が民俗画、水墨、膠彩、自然写生、神話的人物像のあいだで展開した創作の軌跡を改めてたどるものです。「双筆」とは、廟宇彩絵と美術作品という二つの領域を横断する筆法を指すとともに、伝統と近代、民間とアカデミズム、草稿と完成作のあいだを往還し続けた彼の創作方法を象徴しています。「仙跡」は、蔡草如が「草如仙」と称されたことに呼応し、また神仙人物、宗教図像、想像世界に表れる精神性と神秘的な気配を示すものでもあります。
本展では、作品、草稿、文献、関連資料を通じて、蔡草如が反復的な構図検討、描写、コラージュの過程を経ながら、理想とする画面構成へと到達していく様子を紹介します。神話的人物、歴史物語、芝居の場面から、街路の風景や自然写生に至るまで、蔡草如の創作は単に伝統を継承するものではありませんでした。むしろ、地域の技術と個人の感性のあいだに、臺南の文化的厚みを宿した独自の視覚世界を築き上げたのです。
また本展は、近年進められてきた蔡草如作品および文献資料の寄贈、収蔵、研究の流れを受け継ぐものでもあります。その創作過程を改めて整理することで、民俗、工芸、信仰、近代美術のあいだを往還した一人の芸術家が、いかにして二重の筆法により台湾美術史に「仙跡」を刻んだのかを見つめ直します。
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